2021/02/10

いま私が修復している、海の見える小さな家では、

「紅茶の間」と「緑茶の間」をつくろうと思っている。

 

家の中の場所に名前をつけるとき、

「〇〇をするための場所」ではなくて「〇〇のある場所」となるように名付けたい。

DO定義でなくて、BE定義。

 

前者の例えとしては、LDKや寝室。

どれもハウスメーカーのパンフレットを開けば一瞬にして目に入る名前だけれど、

それを目にするたびに、みぞおちのあたりがキュッと苦しくなる。

 

リビングと名のつく場所では「テレビを観ろ」「くつろげ」、

キッチンと名の付く場所では「立ち働け」「料理をしろ」、

ダイニングと名の付く場所では「食べろ」、

寝室と名の付く場所では「寝ろ」、

更衣室と名の付く場所では「着替えろ」という命令が、

いつのまにか脳内に下されるせいだ。

その場所ではそれをしなくてはいけない。他のことはしてはいけない。

もちろんそんな決まりはないはずだけれど、いつのまにか名前が先行して、

思考と行動が制限されてしまう。

さらに、その部屋の「用」をより効率的にこなせるように配置された家具や設備が、

いっそうそれを助長する。

オフィスや店舗ならそれでもいいかもしれないけれど、家でそれをやってしまったら、

「家で暮らしている」というより「家に収容されている」みたいじゃないかしら。

 

いっぽう、「更衣室」でなく「衣裳部屋」だったらどうだろうか。

「着替えるための部屋」から「素敵な衣裳がたくさんある部屋」へと、

俄然イメージが転換されたのではないだろうか。

実際には薄汚れた作業着や部屋着のあるだけの空間だったとしても。

 

BE定義では、その部屋での「行動」ではなく、その部屋にある「もの」に注目する。

そこにある「もの」を使ってどう行動するかは、自由に選べるのだ。