2020/09/08

こどものころ、

「今わからないことも、きっと大人になったら全部わかる」

と思い込んでいた。

 

 当時は、自分の外側に、大きくて絶対的な「正解」があるのだと思っていて、

大人を、そういう「正解」を知っている存在と見做していた。

うん、全員が知っているというのは言い過ぎかもしれないけれど、

それでも、「正解」にいたる筋道くらいは当たり前に辿れる存在だと。

 

実際に大人になってみてわかったのは、

全人類共通の「唯一の正解」なんて存在しないということと、

もし正解があるとすればそれは「自分にとっての正解」で、

だからもちろん自分の外側になんて存在しえないということ。

 

大人になってわかったことが、結局「わからない」ということだなんて、

当時の私が聞いたらどんなふうに思うかしら。

 

あのころの私が知りたかったこと。

正しさとは何で、死ぬとはどういうことで、愛するとはどういう心の働きなのか。

そういう、ほんとうに大切で、ほんとうに知りたかったことは、

未だにわからないままだ。