2020/08/11

食べ物のストック、という概念が好きだ。

冬眠、巣ごもりのために、いそいそと身の回りを整えていくような、

そんな幸福なイメージがあるからだ。

 

たとえば、箱買いしたアイスクリーム。

いただきものの、缶入りのビスケット。

たくさんつくって、冷凍しておいたドーナツ。

 

家からすぐの場所にスーパーもコンビニもあって、

いつでも、なんでも手に入るのに、

それでも、自宅の台所の棚にお気に入りの食べ物が並んでいるだけで、

なんだか心が躍る。

 

当然だけれど、食べ物は食べたら無くなってしまう。

むしろ、手元から消えて身体の中に入るのが、食べ物の本懐といっても過言ではないだろう。

わかってはいるけれど、お気に入りの食べ物が目の前から消えてしまうことは、とても寂しい。好きな食べ物なら尚更。

そんな、本質的に「消えること」が仕事である食べ物を、疑似的に「消えなくする」方法、

それこそがストックなのだと、思っている。

 

食べても食べてもなくならない。

いつでも、好きなときに好きなものを食べられる。

これほどの幸せがあるだろうか。