2020/07/30

余り疲れたらしばらくのあいだ路傍の石
腰をおろして行き過ぎる人を眺めてみよう
君が休んでいるあいだも彼らがそう遠くには
行かないことがわかるであろう

ツルゲーネフ

 

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子どもの頃から、自分だけの世界にこもりがちで、

まわりの変化についていけなかった。

焦ってむりやりついていこうとすると、

サイズの合わない靴を履いたみたいな、ぎこちない歩き方になり、

当然すぐに転んで怪我をし、しばらく休むことを余儀なくされる。

休んでいるあいだに、まわりとの距離はさらに開く。

私は、ひとり取り残される。

無理さえしなければ、たとえ遅くても、いまほど遅れはしなかったのに。

歩みの遅い自分と、それがわかっていて無理をした自分、

両方に腹が立って仕方なかった。

 

今でも、人より歩みが遅いことに焦ることが無いと言えば嘘になる。

もう少し軽やかに生きられたら、と感じることもたくさんある。

 

そんなときに私を救ってくれたのが、このツルゲーネフの言葉だった。

 

私でも、少しは前に進めているのかな。

少なくともあのころよりは、前に進めたかな。